先物活用のメリット、デメリットを考える


 米穀関連事業者が堂島コメ平均(米穀指数先物取引)を活用するかどうかは自由ですが、活用事例をあげておきます。


 下表の左側は、コメ在庫の変化を表しています。表1は、x時点のコメ在庫は18,500円だったものが、x+α時点で販売した時は17,020円だったことを表しています。この場合、x時点よりも1,480円安く販売(損失)をしています。


 もし、x時点でコメ在庫の価値減少に備えて堂島コメ平均を売っていたら、どうなるか?


 ここでは、x時点の堂島コメ平均を17,200円で先物売りをし、在庫を販売したx+α時点で16,340円の買戻したことにしています。この場合、堂島コメ平均では860円の利益が出ています。

 現物の損失(-1,480円)を先物の利益(860円)を通算すると-620円の損失になり、実質の現物販売価格は17,880円(=18,500+(-620))になります。


①表1【現物価格と先物価格が下落】


 表2は、x時点のコメ在庫は18,500円だったものが、x+α時点で販売した時は19,980円だったことを表しています。この場合、x時点よりも1,480円高く販売(利益)をしています。


 もし、x時点でコメ在庫の価値減少に備えて堂島コメ平均を売っていたら、どうなるか?


 ここでは、x時点の堂島コメ平均を17,200円で先物売りをし、在庫を販売したx+α時点で18,060円の買戻したことにしています。この場合、堂島コメ平均では860円の損失が出ています。

 現物の利益(1,480円)を先物の損失(-860円)を通算すると620円の利益になり、実質の現物販売価格は19,120円(=18,500円+620円)になります。


①表2【現物価格と先物価格が上昇】


 表1は、先物を利用していたことで、実販売値よりも安く売らずに済んだことになります。

 表2は、先物を利用していたことで、実販売値よりも安く売ることになったが、一定利益は確保。

 ってところでしょうか・・・。


 在庫の価値減少に備えず(先物取引は利用しない)、現物取引だけをしていた方が大きく儲けられるケースはありますが、その場合は、それ相応のリスクにぶつかることがあります。先物取引を利用した場合、現物で発生した利益を小さくしてしまうケースはありますが、現物で発生する損失を小さくする効果が期待されます。


 上表の価格の変化は、現物と先物の相関が高い事を前提にしたうえで、現物の方が変化率が大きく、先物の方は小さくしています。両者の変化度合によっては、損益通算の結果は、いろんなケースがありますが、万一に備える(価格が下がると困る、上がると困る)なら、価格変動リスクに対する保険として、先物取引を選択肢に加えても良いのではないでしょうか。


 出来れば、頭の体操として、ご自身が取り扱う産地品種銘柄の価格でシミュレートをしてみてください。もし先物取引を活用しない方が事業として有利で、何ら不利な事態が生じないなら、先物取引のことは気にしなくてもいいと思います。


 ではでは

米穀指数

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