ヘッジ取引
ヘッジ取引とは、将来の(現物)価格変動にともなうリスクを先物取引で回避または軽減する方法をヘッジ取引といいます。
ここでは、作付け前の生産者の立場になったうえで、ヘッジ取引例を説明したいと思います。
まず前提条件としては、堂島コメ平均に対し、どんな産地品種銘柄のコメも高い価格相関(※下記URLを参照)があると想定して、簡単なシミュレーションを以下で説明したいと思います。
2024年10月、ある産地品種銘柄の2024年産米価格は19,000円です。翌年産についても、同じ値段でコメ販売をしたいと考えた生産者は、堂島コメ平均と自身が生産するコメの価格相関性に着目し、2025年10月限(2025年産米の取引価格)で「先物売り」をしました。これは、現物の価格変動リスクに対するヘッジ取引になります。このヘッジ取引により、生産者は、翌年産米の販売価格を先決めしたうえで、作付けに入ることが出来るようになったと考えることが出来ます。
その後、出来秋を迎えたタイミング、新米の取引価格が確定したタイミングでヘッジ取引を解消するため、買戻しを行いました。その結果については、表1(1年先の価格が下落)、表2(1年先の価格が上昇)にあります。
(表1)
<ヘッジ取引あり>
(a)先物損益:1,500円(=19,000円-17,500円)
(b)2025年産米/現物販売代金:17,500円
(c)実質手取:19,000円(a+b)
<ヘッジ取引なし>
(a)先物損益:なし
(b)2025年産米/現物販売代金:17,500円
(c)実質手取:17,500円(a+b)
(表2)
<ヘッジ取引あり>
(a)先物損益:▲1,500円(=19,000円-20,500円)
(b)2025年産米/現物販売代金:20,500円
(c)実質手取:19,000円(a+b)
<ヘッジ取引なし>
(a)先物損益:なし
(b)2025年産米/現物販売代金:20,500円
(c)実質手取:20,500円(a+b)
「ヘッジ取引あり」の場合、現物の価格変動があろうと、先物売りをした時点の現物価格(=実質手取)を実現しています。
「ヘッジ取引なし」の場合、2025年産米の価格が高くなっていればラッキー、下がってしまえばアンラッキーということになります。
ヘッジ取引をするしないは自由ですが、上記の結果を見て、どちらが経営上良いでしょうか?
勿論、ヘッジ取引以外の方法、例えば「事前契約」等で、リスクコントロールが出来るのであれば、堂島コメ平均を活用しなくても構わないと思います。
上記は、単純な事例なので、先物価格と現物価格の変動額を同額にしています。実際は、いくらか変動額にズレは生じるはずですが、少なくともヘッジ取引をしていれば、ある程度リスクを制御できると考えます。
試験上場時のコメ先物取引は、特定の産地品種銘柄の現物受渡しも出来る先物取引でしたが、この度のコメ先物取引は、あらゆるコメの価格変動リスクを制御するためのヘッジ取引専用市場なんだと思います。うまく活用すれば、現業の支えになるような気はします。
じっくり研究、検討をしてみてください。ではでは
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